講義「大学を取り巻く諸情勢」
広島大学事務局長 廣瀬育生
広島大学事務局長から「大学を取り巻く諸情勢」という内容でお話を聞きました.話の内容はほとんどの方が想像されているように国立大学の独立行政法人化についてのことでした.従来から進められていた大学改革に公務員の人員削減の問題が絡んで独立行政法人化の動きになったという経緯の説明や、大学における研究や教育と合理化や効率化といった一見なじまない課題をどうやって解決するべきかについて説明されました.この問題は現在進行中の問題なので具体的な内容についてはあまり踏み込まれなかったように感じましたが、この問題が我々技術職員にとっても重要な問題であり、今後どの方向に動くのかを注目し、技術職員が将来どのような役割を担い、どのような姿であるべきかを考えることを喚起する契機として有意義であったと思います.
文部省大臣官房人事課課長補佐 加藤幹夫
文部省のみならず他省庁も含めた国家公務員の懲戒や労働災害の実態についての説明がありました.この中で最近注目された警察の不祥事や、公務員の倫理規定が制定された経緯とその内容についての説明をされました.また、実際にあった懲戒の例や勤務中における災害の例を紹介されました.
国家公務員は職務上のみならず生活面においても公務員としての自覚をもつべきこと、また、必ず安全を確保して職務を遂行すべきことを再確認しました.
文部省学術国際局国際学術課管理官 呉 茂
平成13年1月5日から省庁再編により文部省は科学技術庁と合併して文部科学省に名称が変更される.このことに伴い組織がどのように変わるのかの説明を受けました.また、科研費などの研究助成制度が今後どのようになってゆくのかの説明がありました.
今後研究予算は研究助成費の方に重きをおく方針である説明がなされました.研究予算には大きく分けて、大学や研究機関等に均等に配分されるものと、申請があった研究に審査を経て配分される科研費などの研究助成制度による配分とがあります.今後は後者の研究助成制度による配分の比率を大きくするという方針があるようです.これは、大学や研究機関の独立行政法人化に伴う合理化・効率化や競争原理の導入の思想と一致するものです.つまりはちゃんと研究をやらないと予算はまわってこなくなるということであり、研究を援助する我々技術職員の役割もますます重要になっていくと同時に技術力を上げていかなければ生き残れないという試練でもあると思いました.
講義「人事実務上の課題」
文部省大臣官房人事課審査班審査第一係長 海老沼正男
他の方の報告に任せて割愛させていただきます.
広島大学 技術専門官 廣田秀徳
廣田氏のこれまでの仕事のやり方などのお話を聞かせて頂きました.お話のなかで廣田氏は、仕事は自分で見つけてゆくものであること、これだけは人に負けないものを身につけるべきであることなどをお話されました.同じ技術職員として参考になる話が多々あり、有意義でした.
広島大学 技術専門官 竹岡清二
竹岡氏のこれまでの仕事のやり方などのお話を聞かせて頂きました.竹岡氏の専門は放射線関係の仕事で、独創的な工夫をしたエピソードなどを聞かせていただきました.
また、竹岡氏は専門的な仕事という性格上技官にはあまり配置換えはないが、自分の技術を生かせる形の配置換えであれば積極的に人材を活用するべきであるという考えを示されました.竹岡氏は以前にいた研究室から他の部署に配置換えされた経験をもっておられます.竹岡氏は、一般的に言って、所属している研究室の教授が変わるとそれまでの研究内容が様変わりするのに伴い、所属していた技官がそれまで培ってきた技術が無用のものになってしまうという損失を指摘されました.この様な場合、その技術および人材を生かせる部署があるならば積極的に配置換えを行うこともひとつの有意義な方法であることをご自身の経験と重ね合わせて示されました.この考え方は効率を重視しようとしている現在の思想(賛否は別問題として)と一致するものであり重要であると感じました.