宮崎大学出張報告
機械系 佃 等
電気電子・情報系技術班 黒河 久悦
出張期間:平成16年2月17日(火)〜平成16年2月18日(水)
出 張 先:宮崎大学工学部教育研究支援技術センター
1.出張の目的
宮崎大学工学部技術部より工学部教育研究支援技術センター(以下「技術センター」という)に組織改革が行われた背景や過程,およびそれに伴う業務形態の状況を調査するとともに,平成16年度からの独法化に向けての取り組みや課題などについて意見交換・情報交換などを行った.
2.報告事項
宮崎大学工学部は,農学部,教育文化学部等とともに宮崎大学木花キャンパスに昭和61年8月に移転した.敷地は広く,建物の間がゆったりとしていて,いい雰囲気のキャンパスである.広い駐車場が何ヶ所もあるが,公共の交通機関が少ないため学生も車の乗り入れができることから,常に満杯状態になるとのことであった.
技術センターは,技術センター長(工学部長)を頂点に生産技術系,情報システム系の2系が配置され,現在25名の工学部技術職員で組織されている.各技術職員は,専門分野毎の系,班に所属し,工学部の学科,研究室及び関連するセンターで,教育研究業務を技術的な面から支援している.
最初に技術センター長(工学部長)と工学部事務長にお会いし,技術センターへの組織改革の背景や今後の課題などについて,また独法化に向けての資格取得の現状などについてお話を伺った.その後、技術センターの拠点となっている技術センター室に移って,総括技術長と生産技術系技術長,情報システム系技術長の3人の方を交えて,意見交換・情報交換を行った.又この技術センターに関する業務は,センター室において,上記3人でマネージメントを含む業務の割り振り等を行っているとのことであった.
宮崎大学工学部技術部は平成14年3月に技術部長から技術職員のあり方についての検討を諮問され,それに基づいて教員,技術職員,事務職員から成る「技術職員のあり方WG」が設置され,その年の10月に「技術職員のあり方について」に関する答申が出された.その後教授会の承認を経て,平成15年6月1日に技術センターが発足した.この間の過程や苦労話など伺うとともに,ここまでもってこられた関係者の努力と熱意に敬服した.技術センターへの改革の背景として,技術職員の年齢構成の偏りや定員削減にともなう学科間あるいは学科内研究室間の技術職員の配置のアンバランスがあること,さらに今後外部評価に耐えられる教育研究支援体制作りが求められることなどがある.頂いた資料により業務形態,支援業務の区分とその内容,業務処理の流れなどについて説明があり,また今年度は移行措置として,特に長期支援業務についてはこれまで関っていた研究室の業務を優先して行うことにしているとのことであった.技術センターへの組織改革は,独法化後の技術職員の存在価値に対する真に危機感の表れであると感じた.何れの組織あるいは部署においても,計画(目標)・実行・評価が組織としてまた個人として厳しく問われる時代にあって,個人レベルのみでなく組織として業務に対する明確な責任体制を構築することは必要である.宮崎大学工学部技術部では,これらを念頭に置きながらより根本的な見直しの議論を経て,技術職員に要請される多様な業務,技術の伝承・専門性の向上や地域社会・国際社会との連携などを組織的に実施できる体制へと改革し,技術センターが発足した.技術センターが高い評価を受けるかどうかは,単に技術職員一人ひとりの努力に待つところが大きいが,工学部全体の理解と協力が必要であろう.技術職員を集中化して組織的な責任体制を明確化し,本格的な第三者評価にも耐え得る教育研究支援システムとして実施されている技術センターのような形態も,今後の一つの選択肢として,これからの推移を見守っていきたい.
3月9日には,技術センター発足後初めての総合技術発表会が開催される.刷り上ったばかりの「総合技術発表会予稿集」を資料として頂いた.この発表会では,技術センターに所属する技術職員全員がポスター発表を行うと伴に,熊本大学工学部技術部ならびに鹿児島大学工学部技術部から口頭発表の参加がある.これらの全員が発表すること,また本学の他技術部との連携や他大学技術部との連携を目指すことなどは,我々が今後取り組む目標としているものであり,大いに刺激をうけるとともに,参考になった.
宮崎大学木花キャンパスにある農学部および教育文化学部等の技術職員は,人数が少なく組織化されておらず,課題が残されているとのことであり,本学工学部等技術部が工学部以外の技術職員も含めて,城北キャンパス内の技術職員で組織されていることに興味を示された.本学工学部の教務職員の現状と技術部との関係についても質問があった.宮崎大学工学部では,教務職員はいない(置かないことにしている).また,学科事務室がないため,これに関連する業務も入ってくるとのことであった.近々,独法化後に適用される労働安全衛生法についての初めての講演会が開催されるとのことであったが,これは技術センターが企画・段取りして実施されるとのことであり,大変素晴らしいことであると感じた.
3.おわりに
この度の技術センターとの交流によって,技術職員の教育研究支援体制や業務遂行における一つの形態を見聞きすることができた.本学でも技術職員のあり方ならびにその組織を見直すためのWGの設置が予定されているが,WGでの議論・検討の中に今回の出張で得られた知見を活かしていければと考えている.
謝辞:終りに,宮崎大学工学部教育研究支援技術センター長,工学部事務長はじめ,総括技術長,生産技術系技術長,情報システム系技術長には,年度末のお忙しい中を2日に亘って貴重な時間を割いてお世話頂きました.厚く御礼申し上げます.また,今回の出張に関しご配慮下さいました本学工学部等技術部長,工学部事務長,技術長に感謝申し上げます.