平成12年度愛媛大学教室系技術・技能職員研修会

(平成12828日〜30日 愛媛大学)


報告者: 愛媛大学工学部技術部環境建設工学技術班  技官 川口 隆

平成12年8月28日〜30日の3日間愛媛大学工学部にて行われた平成12年度愛媛大学教室系技術・技能職員研修会には環境建設工学技術班技術職員全員の参加と高松工業高等専門学校から技術専門職員井下将至 氏の参加があった.愛媛大学の技術職員を中心に技術発表において実験・実習,日頃の研究の成果等を発表致し活発に議論や意見交換等を行った。最終日には松山市における都市整備として松山地下駐車場と堀之内周辺を見学した.以下研修の内容感想等を述べさせて頂くこととする.


8月28日(1日目)

公務員倫理 人事課長 長谷川文章 氏

服務についてに国家公務員倫理法および国家公務員倫理規程から抜粋された条文の資料や倫理教本を用いて説明がなされた.その後ビデオ映像で職場におけるセクシャルハラスメントに関して討議・検討し問題の解消や意識の向上をはかった.

 

特別講演 改革期に的確な方向選択を 工学部教授 矢田部龍一 氏

国際的視野に立った世界の動向のお話にはじまり愛媛大学の現状をふまえながら,今後の独立行政法人化にともなう大学教育のあり方について,我々技術職員の方向性を示唆し,ともに愛媛大学の発展に付与しようと意識の高揚があった内容であった.

 

技術発表及び意見交換

1.膨張性鉱物による土のせん断強度低下についておよびX線回折装置による鉱物の同定実習

環境建設工学技術班長 技術専門職員  二神 治 氏

膨張性鉱物が及ぼす土のせん断強度の低下についてわかりやすく講義し,その後実際にX線回折装置の原理・使用方法の説明があり,実習を行い考察を行った.

 

2.岩石の強度変形特性(実験・実習)

環境建設工学技術班 技官 川口 隆 氏

脆性材料としての岩石の強度・変形についての理論や現象の講義があり,実際に試験を行い実験結果を整理・考察して,各自レポートを提出した.

8月29日(2日目)

講演 都市防災計画と救急医療サービス 工学部講師 二神 透 氏

地震・火災などの実際の災害事例を紹介し,それらの対応には防災に適した都市計画が必要な点,また,救急医療サービス体制として松山市を例にGISで整理された結果を系統だてて講演して頂いた.

 

講演 流域における水環境と水処理システムの役割 工学部講師 西村文武 氏

水資源の定義や基本的な事項にはじまり,水資源の再利用も含めた有効利用の講義と下水処理等の水処理のメカニズム,問題点,今後の動向を示唆した内容であった.

 

技術発表及び意見交換

3.波浪の長期推算に基づく波候と波高極値の推定システム

環境建設工学技術班主任  技術専門職員 大福 学 氏

海洋観測の基本的な事項にはじまり,現在の観測システムの説明,さらにデータからのパラメータの抽出,解析手法を明瞭に解説,さらに自らが行った結果の考察を交えながらの講義であった.

 

4.T.B.Mディスクカッタの摩耗特性

環境建設工学科 技術専門職員 河野幸一 氏 

トンネルボーリングマシーンの施工方法について平易な説明の後,室内実験における計測システムの製作に関する技術的な話題やセンサーの概要を講義し,実際に実験をとおして今後の研究の方向性を示された.

 

5.山地河道における混合砂礫河床の河床形態に関する調査

環境建設工学技術班 技官 重松和恵 氏

河川工学の一般的な基礎知識にはじまり,松山市近郊の河川を例に河床形態の分類などの説明があった。現場における観測に関する留意点などわかりやすく講義された.

8月30日(3日目)

講演 地震工学の基礎と計測 工学部助教授 森 伸一郎 氏

地震とは?の問いかけに対して,地震のメカニズムや振動の基礎知識をわかりやすく説明,地震時における構造物の挙動,さらに挙動により得られた知見から設計への応用を解説された.また,埋め立て地等の軟弱地盤における液状化の話,基礎構造物の危険性を実際の事例をもとに講義された.

講演 メンタルヘルス 保健管理センター講師 山内寿恵 氏

精神医学的な立場から職場におけるストレスなどの講義内容にはじまり,より良い職場環境づくりのアプローチがあった.

現地視察

松山市の地下駐車場および松山城周辺道路整備状況

環境建設工学技術班 主任 技術専門職員 坂本義教 氏

当技術班の坂本技術専門職員の立案計画により松山市役所前地下駐車場と堀之内周辺の整備事業の進展状況を確認してきた.

まず,地下駐車場では集中管理室において施設のシステムや利用状況等について松山市や管理者から説明があり,その後実際に施設内を見学した。その後隣接する堀之内周辺における道路景観整備事業の進展状況を資料を参考にしながら視察した.

写真−1 地下駐車場

写真−2 集中管理システム

写真−3 堀之内周辺と集合写真

おわりに

残暑厳しい3日間であったが,遠方からの参加者もあり大変有意義な研修であった.班の独自性と主体性を柱にこの研修を行ったが,目的を充分に達し今後の技術職員としてのあり方を認識できた.わたくし自身の反省としては全週に行われた中国・四国地区の合同研修から引き続いたため,いささか準備不足も拭いきれなかったが皆様のご配慮を頂き満足といく発表ができたものと考えている.次回も活発な意見発表を伴う研修が行われることを期待してやまない.

 

謝 辞

本研修をおこなうにあたり,愛媛大学事務局総務部人事課職員係長 山内正生 氏と同係主任 渡辺弘文 氏の格別のご配慮とご助力を賜り,無事遂行できたことをここに感謝申し上げる.

<研修および報告会><実験・測定機器の紹介><実験・実習の安全事項><業務に関係するリンク集


制作:技術部マルチメディア委員会