平成15年度愛媛大学教室系技術・技能職員(機械系)研修

主  催:愛媛大学 研修期間:平成15年8月26日(火)〜 8月28日(木) 研修会場:工学部41番教室,基礎科学実験室(1‐2),実習工場

1.目的

教室系技術・技能職員に対し,その職務に必要とされる専門的知識,技術などを修得させることにより, 教育研究現場における技術水準を高め,能力,資質等の向上を図ることを目的とした.

2.受講者

愛媛大学工学部等技術部機械系 : 佃 等       機械系技術班   : 阿部 文明,一柳 雅則,徳永 賢一,十河 基介,土居 正典       実習工場技術班  : 西野 輝夫,芳ノ内 信也,稲田 静磨,政岡 孝,石丸 恭平       自然科学系技術班 : 奥村 秀彦       その他 部分受講者12名 詫間電波工業高等専門学校   : 大畑 正樹 弓削商船高等専門学校     : 岩崎 和志 高知工業高等専門学校     : 山地 真一

3.研修内容

3.1「倫理・服務について」 愛媛大学総務部人事課長 多田 雅則 <司会:佃 等>
公務員倫理として,倫理保持のためのルールや国家公務員法の遵守の確認ならびに懲戒処分事例の紹介が あった.職務遂行にあたっては,グローバルスタンダードの意識が必要で,国民の目線での 価値判断や時代々々を反映した考えでものを観て,判断しなくてはならない.また,本務に影響を 及ぼさない中で,自己コントロールのもと自分を高めるためにいろいろな事にチャレンジすることも 大切である.さらに,PLAN‐DO‐SEEのサイクルが重要であること,計画性を持つことや職場では 話しにくい雰囲気をつくらないこと,お互いよく相談することが大切であることなどの講義があった.
3.2「セクシュアル・ハラスメントの防止について」 愛媛大学総務部人事課専門職員 大六 隆 <司会:佃 等>
セクシュアル・ハラスメントについてのビデオを観た後,セクシュアル・ハラスメントを行なわないために 私達が認識すべき事項として,意識の重要性,基本的な心構え,セクシュアル・ハラスメントになりうる言動 などについて,また,その被害を受けたと思うときに望まれる対応についての説明があった.
3.3「法人化後の技術職員の在り方について」 愛媛大学工学部事務長 井上 統雄 <司会:一柳 雅則>
 平成16年度から施行される国立大学独立行政法人化後の技術職員には,大学の教育や研究,地域貢献を支援する スタッフとしての専門的知識や技術・技能がさらに強く求められていること,法人化をターニングポイントと 捉え,自己発展の可能性についての講話があった.  愛媛大学という組織の一員としておおいに刺激され,かつ自覚させられた.今後は自分の持つ技術分野を ベースに,プライドのある技術職員になるよう努めたい.
3.4「安全管理について」 愛媛大学理学部教授 竹尾 陽敏 <司会:奥村 秀彦>
 大学における安全管理についての現状と今後の課題に関する講義であった.法人化に伴い最も大きく変更される 点が,労働安全衛生法の適用である.この法律の内容や大学において変更すべき点が平易に説明された.さらに, 諸規則についても解説があり,特に,薬品管理に関する詳細な説明があった.また,安全管理を実行するための 体制の重要性が指摘された.
3.5「人力飛行機製作日記」 愛媛大学工学部助教授 野村 信福 <司会:政岡 孝>
 愛媛大学航空力学研究会<二宮翔会>では,二宮忠八翁(愛媛の生んだ航空機の先駆者)が1891年に考案した カラス型飛行機を現代の技術で再現して,第27回鳥人間コンテストに初参加した.工学専攻の大学院生や学部生, 教官を含めた約30名の部員の設計から製作・組み立て,琵琶湖でのフライトに至る9ヶ月間の悪戦苦闘の日々に ついての講演であった.カラス1号と命名された飛行機は独創的な形状とスケールの大きさから注目を集めたが, 安全性に対する指摘から棄権する結果となった.しかし,次回へのリベンジへ向けた新たな挑戦が始まっている 旨の報告もあった.
3.6「JABEEへの対応」・・技術職員として・・ 愛媛大学工学部助教授 檜原 秀樹 <司会:十河 基介>
 JABEE審査に向けての動きの中で,「平成15年度工学教育連合講演会の報告」「機械工学科のJABEEへの 対応」を中心に,技術職員のJABEEへの対応についての講話であった.講話終了後に約30分の討論時間を設け, 檜原先生を交えての活発な討論が行なわれた.
3.7「医・理・工連携による癌治療法開発の取り組み」愛媛大学理学部助手 前原 常弘 <司会:土居 正典>
 医・理・工連携プロジェクト「医療先端技術研究会」の経緯と「肝癌の局部冷凍高速切断と止血装置の 開発」の現状についての説明があった.さらに,磁性体粉末を血管から腫瘍に取り込ませて高周波を照射し, 高周波誘導加温することで腫瘍を凝固壊死させる「粉末材料の高周波誘導加温を用いた癌治療装置の開発」 の概要と問題点,これまでの治療法との相違などについても話され,最先端医療現場の興味ある講義となった.
3.8「ビールの発泡は沸騰か?」 愛媛大学工学部教授 水上 紘一 <司会:徳永 賢>
 講義中に,グラスに注がれたビールの気泡と,ビーカー内の水を加熱したときに発生する気泡について 実際に観察を行なった.両者ともガラスの壁や底から気泡が発生・上昇し,見た目がよく似ていることが確認 できた.その後,気液界面の力学的平衡の式や蒸気核の臨界半径等についての説明,Griffith & Wallisが 曲率対蒸気体積曲線の左部をなぜ破線にしたか?等の講話があり,結論として気泡核の安定性という概念に より沸騰と発泡の区別を数学的に説明できることを示された.
3.9「ものづくり」 愛媛大学工学部等技術部 阿部 文明
 技術職員の根本の一つである<ものづくり>について,受講生が2班に分かれ,1班は圧力容器(空気,15kPa, SUS304,3〜5L,一端はフランジを採用,常温,その他の条件は自由),1班は絞り流量計(水,流量m>200g/s, 管内径20mm,水温300K,その他の条件は自由)を,実際に製作することを前提として設計した.その結果は 各班代表者によって発表され,それに対する質疑応答が行なわれた.
3.10「<基礎科学実験から>T,U」
 Tの金属加工では,測定方法,旋盤,フライス盤,ボール盤,溶接の各作業について,各担当者から 具体的な実習手順の説明があり,質疑応答や提案があった.また,理学部における学生実験では,工作実習の 現状についての報告があった.  Uでは,<ボイル・シャルルの法則は本当に成り立つか>,<点接触型ダイオードとラジオの製作>, <心電図と脳波図を図ってみよう>,<スターリングエンジンに挑戦>の実験を,「機械系技術班全員が 全てのテーマを担当できる」ことを目標に,各担当者から実験の立ち上げと実験のノウハウを出し合った 概要説明と簡単な実習が行なわれた.
3.11「工場見学」株式会社 いうら
 株式会社 「いうら」は,<寝たきりにしない させない><介護労力の軽減>をコンセプトにして,常に 独創的な商品を提供している福祉・介護機器メーカーである.通常,企業の生産現場に接する機会の少ない 私達にとって,介護用ベッドや乗せかえ装置付ストレッチャー,横乗り車椅子の体験など,ぬくもりの伝わる 見学となった.また,見学後の講話と質疑応答では井浦忠会長から先輩技術者の立場で貴重な助言をいただいた.

4.研修日程

8月26日(火) 8月27日(水) 8月28日(木)
8:30-9:00
受付
オリエンテーション
9:00-9:20
開講式
写真撮影
9:00-10:30
「JABEEへの対応」
・・技術職員として・・

愛媛大学工学部助教授
檜原 秀樹
司会:十河 基介
9:00-10:30
「ビールの発泡は沸騰か?」
愛媛大学工学部教授
水上 紘一
司会:徳永 賢
9:20-10:45
「倫理・服務について」
愛媛大学総務部人事課長
多田 雅則
「セクシュアル・ハラスメント
の防止について」

愛媛大学総務部人事課
専門職員
大六 隆
司会:佃 等
10:30-12:00
「医・理・工連携による
癌治療法開発の取り組み」

愛媛大学理学部助手
前原 常弘
司会:土居 正典
10:30-12:00
「ものづくり」
愛媛大学工学部等技術部
阿部 文明
10:45-12:00
「法人化後の技術職員の
在り方について」

愛媛大学工学部事務長
井上 統雄
司会:一柳 雅則
昼食
13:00-14:40
「安全管理について」
愛媛大学理学部教授
竹尾 陽敏
司会:奥村 秀彦
13:00-17:00
「基礎科学実験からU」
-ボイル・シャルルの法則は
本当に成り立つか-
-点接触型ダイオードと
ラジオの製作-
-心電図と脳波図を図ってみよう-
-スターリングエンジンに挑戦-

機械系技術班
佃 等
阿部 文明
一柳 雅則
徳永 賢一
十河 基介
土居 正典
移動
14:40-15:45
「人力飛行機製作日記」
愛媛大学工学部助教授
野村 信福
司会:政岡 孝
13:30-16:00
工場見学
株式会社 い う ら
温泉郡重信町南野田若宮410‐6
15:45-17:00
「基礎科学実験から T」
-金属加工-

工学部等技術部
西野 輝夫
芳ノ内 信也
稲田 静磨
政岡 孝
石丸 恭平
-理学部における
学生実験について-

奥村 秀彦>
移動
16:40-17:00
閉講式